『織の海道』実行委員会のプロジェクトは、2000年より日本最西端 与那国から九州 久留米までの豊かな染織文化を、出版、展示会、シンポジウムをとおし、日本のみならず広く世界に紹介することによりアイデンティティを再発見・再認識するものとして始まった。
『衣・食・住』のひとつ『染織』は、ただ暑さ寒さを凌ぐだけではなく、歴史という絡まった糸、文化という一本の糸、民俗という鮮やかな糸が、人々の想いを経(たて)・緯(よこ)糸に織り交ぜながら点・線・面となり一枚の布に凝縮されている。
数多くの知られていない伝統文化継承者(無形文化財)や「KASURI(絣)」を軸とし、染織をとおした文化を調査、研究し、「染織文化の継承と発展」「相互理解」「未来のものづくり」を模索・創造・表現するための情報発信の拠点として活動している。
● 2009年秋 NPO法人取得予定
日本最西端 与那国から九州 久留米まで「KASURI(絣)」を軸とした染織文化を、調査・研究し全4巻を出版した。
「KASURI」とは、染織技法の一つであり、絣文様は自然、歴史文化的意味の対象をデザインし表現したものである。
各地域の染織文化について、伝統技術や織物の素晴らしさを詳細に伝え、より深く理解するために自然、歴史、文化・芸能を多数の貴重なビジュアルとともに、著名な方々が執筆している。
vol.01-03には、要約された英文も掲載され、広く世界に発信している。

清々しい緑に一変した東京。深く吸い込む空気も気持ちがよく、夏が近いことを感じらる季節の中、早3月に沖縄では海開きをした。
空と海の境界線が溶けあっている色は、藍染めや琉球グラスの青を彷彿させる深くて透き通った色である。市場でも、色彩鮮やかな果物や野菜、青い魚が並びアジアの香りがするエネルギーが溢れている。
これからの季節は、海の行事が沖縄を賑わせる。旧暦五月四日(ユッカヌヒー)には、豊漁や海の安全を願い「爬竜舟(ハーリー)」という舟で競い合う祭りが行われる。「爬竜」とは中国で龍を意味し、真南風を受け力強く漕ぐ勇姿が海を渡る龍のようである。諸説あるが、中国大陸から伝来した「龍舟節」に起源があると言われている。
沖縄の海には信仰がある。ニライカナイ信仰は、海の彼方に生命の根源の神が住み、年に一度訪れ、五穀豊穣をもたらす水平信仰とされている。対照的に、オボツカグラ信仰は、権力的な天界を意味し垂直信仰といわれている。権威の象徴である琉球王国がなくなった今、ニライカナイの儀式が各地域で見ることができる。
琉球藍に染めあげられた布を見ながら遥か彼方の海神を想像すると、心身が浮遊してくる。
photo:那覇ハーリー/海神祭

主なCONTENTS:琉球の美術工芸/沖縄・八重山・宮古の歴史/与那国島・竹富の島々・石垣島・宮古島の織物/与那国織について/竹富の島々の織物文化/石垣島の織物の技法/八重山、宮古の御用布と御絵図/八重山 織の文化史/先島染織案内 他

【執筆者】宮城篤正、田名真之、千木良芳範、石垣博孝、砂川玄正、祝嶺恭子、通事孝作、新垣幸子、富山弘基 他

主なCONTENTS:沖縄の歴史・文化・自然/久米島の歴史・文化/美術工芸の形成と背景/尚家の儀礼装束/首里の織物/御絵図/南風原の歴史・花織/琉球の芭蕉布/久米島紬/沖縄の伝統芸能/沖縄工芸の未来 他

【執筆者】田名真之、上江洲均、千木良芳範、上江洲敏夫、池宮正治、真榮平房敬、長谷川敬子、小橋側順市、ルバース・ミヤヒラ吟子、祝嶺恭子、大城和喜、平良次子、片岡淳、平良美恵子、大城学、宮城篤正 他

主なCONTENTS:アジアにおける日本の染織/奄美、九州の自然・歴史と風土・人と文物の交流/アジア間交流からみた琉球の布/奄美の織物(大島紬からみた歴史と現在、島の暮らしと織物、芸能 他)/鹿児島の織物(近代紡績と鹿児島、文化と歴史、南九州の民俗文化と多様性)/久留米の織物(歴史と特徴、絵絣の技術と技法 他)糸の歴史

【執筆者】小笠原小夜、田川日出夫、半田隆夫、丸山雍成、真栄平房昭、弓削政己、泉和子、先田光演、町健次郎、児玉永伯、田村省三、原口泉、中村健一、松枝哲哉、森山虎雄、堂前亮平、浅見良露、嶋崎昭典 他

主なCONTENTS:絣Design/沖縄の絣文様の歴史と分析/絣文様にみる沖縄の暮らし/島人の視点/人頭税の廃止後 絣の変遷/文化、歴史にみる宮古の絣・分析/久米島紬の絣/御絵図から〜/喜如嘉芭蕉布・大島紬・久留米の絣文様/沖縄の文化、美術工芸を愛した人々 他